コンビオーブンにも使える!スチームコンベクションオーブンの蒸気加熱時に蒸気量を安定させる方法

コンビオーブンやスチームコンベクションオーブンを使いこなすために、前回はスチームコンベクションオーブンの蒸気加熱の利点についてご紹介しました。

さらに上手にコンビオーブンやスチームコンベクションオーブンを使いこなすためには、蒸気加熱における正しい知識を持っておく必要があります。

今回は前回に引き続き、コンビオーブンにも使える蒸気量を安定させる方法や、調理の分量と加熱時間との関係など、今日から取り入れられる知識をご紹介します。

コンビオーブンの蒸気加熱における知識3選

コンビオーブンやスチームコンベクションオーブンを上手く使いこなすために、持っておきたい蒸気加熱の正しい知識は以下の3つです。

  1. 蒸気量を安定させる方法
  2. コンビモードの誤解
  3. 調理の分量(負荷)と加熱時間の関係

それぞれについて詳しく説明していきます。

1.蒸気量の安定

コンビオーブンやスチームコンベクションオーブンでは、蒸気量を変化させる事が可能です。

蒸気量は、ボイラーや蒸気の庫外排出という動作で調整し安定させています。

しかし、動作の指標とすべき湿度は、庫内に入る蒸気の容量(飽和蒸気量)が温度によって激しく変化するため計測し難く、また調理物からでた水蒸気により庫内の蒸気量は刻々と変化します。

では、コンビオーブンやスチームコンベクションオーブンは、どのようにして庫内の蒸気量を安定させているのでしょう。

一般的に庫内の蒸気量を安定させるための方法は以下のいずれかです。

  1. 庫内蒸気の排出部温度を測定する
  2. 庫内を循環する風の負圧を測定する
  3. 庫内の酸素量を測定する
  4. タイマーで動作を決める

シンプルで信頼性が高いのは1. の排出部分の温度測定によるものです。

その他の方法は、測定が難しいこともあり、測定した温度の信頼性が低くなってしまいます。

そのため、食材の影響を受けづらく、安定した測定を行いやすいという理由で信頼性の高くなる1. を使用することが多いです。

2.コンビモードの誤解

コンビオーブンにおけるコンビモードの焼き物は、「水分を補って縮みを防ぎ、ふっくらと焼き上げます。」とよく言われています。

蒸すに近い温度である150℃以下ではそれも想像できますが、200℃以上では食材に水分補給ができるのでしょうか。

焼き縮みや歩留まりは、加熱後重量がどれだけ残っているかです。

そこで、ハンバーグ、鯖、豚ロース肉、鶏もも肉、鶏ムネ肉を用いてコンビオーブンでの比較実験をしてみました。

実験の方法は以下の通りになります。

  • ハンバーグは100gと50gに成型。
  • 鯖はノルウェー鯖フィーレ平均130gを使用。
  • 豚ロース肉はメキシコ産 平均135gを使用。
  • 鶏もも肉はブラジル産 平均200gを使用。
  • 鶏むね肉は国産 平均250gを使用。
  • コンビ、ホットモードともに120℃、150℃、180℃、210℃、240℃で実験。
  • 芯温センサーで中心温度80℃まで熱し、その後重量を計り算出。

上述のグラフを見ていただければ分かるように、150℃以下ではコンビモードの方が熱した後の重量が重くなっていますが、コンビオーブンとして用いることが多い温度帯である180℃以上では、むしろコンビモードの方が熱した後の重量が軽くなっていることが分かります。

実は、180℃以上の高温になると、飽和水蒸気量という空気中に含むことのできる蒸気量が非常に大きくなり、180℃以上の庫内では蒸気量を増やしても飽和するレベルまで達しないので、増やせば増やすほど熱量が多くなり乾燥しやすくなってしまうのです。

つまり「水分を補って縮みを防ぎ、ふっくらと焼き上げます」というのは180℃以上では当てはまらず、コンビオーブンにおけるよくある誤解ですので、注意してください。

3.調理の分量(負荷)と加熱時間の関係

電子レンジにおいて調理時間は調理量に比例します。(調理量が3倍なら時間も3倍)

では、コンビオーブンやスチームコンベクションではどうでしょう。

1/1ホテルパンに10℃の水を3L入れて、180℃の庫内で熱し90℃に到達するまでの時間を比較実験しました。

実験結果は下述の表の通りです。

コンビモードでは、非常に速い加熱時間で、負荷が10倍になっても加熱時間は1.9倍程度にしかなっておらず、負荷と加熱時間が比例の関係にはないことが分かります。

一方、ホットモードでは負荷が上がるにつれ、加熱時間が短くなっています。

これはなぜかと言うと、蒸気抜きをしないホットモードは、蒸気を入れないですが蒸気を抜く事もしないため、負荷が多くなると食材自ら発する蒸気で加熱が加速されるためです。

食材を全段投入した場合、加熱時間は最大2倍(比1段投入時)に延長していただく必要があります。

負荷ホットモード(蒸気抜き無し)コンビモード(蒸気量最大)
1枚22分8分
5枚19分11分(1.4倍)
10枚18分15分(1.9倍)

コンビオーブンをよく知って使いこなそう

今回の記事では、コンビオーブンにおける、蒸気量を安定させるための方法、コンビモードの誤解、調理の分量(負荷)と加熱時間の関係について解説しました。

コンビオーブンやスチームコンベクションオーブンを使う際には、蒸気による加熱への影響をきちんと理解して、加熱時間や蒸気量を調節することで美味しい料理を作ることができますので、ぜひ実践してみてください。

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